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ツンデレブースター(メモ)


今週、通勤電車の中で考えてたネタをちょとまとめておく。
「ツンデレブースター」

西野良子(りょうこ)、中学卒業した15歳。地味だし引っ込み思案だし、とくに特徴もない女の子。すきな男子とはほとんど口をきくことができなかった中学時代。目が悪いせいかちょっとやぶにらみ気味になってしまう容姿にもコンプレックスを持っていた。
でも高校は3年間憧れていた大田くんと同じ!環境が変わる今こそが、自分を変えるチャンス! そう思っていたところに、マンガ雑誌の最後の通信販売の1コーナーに「ツンデレブースター」なる商品が紹介されているのを見つける。
いまのあなたを変えるのはこれ! あなたもツンデレで彼のハートをゲット!とある。
わたしの釣り目を生かすにはこれしかない、とばかりにその日のうちに申し込んでしまった。

とどいた箱を開けると中には、銀のチェーンの銀のハートのブレスレッドと、「ツンデレ指南書」と書かれた本。フタを開けた瞬間にうさんくささ全開。ツンデレブースターというから、なにか電子機器が入っているのかと思ったのに。(いや、それでも十分あやしい) しかしこれでは幸福のペンダントと変わらない。というかお金払う前に気づけよ自分、と自己嫌悪。
とりあえずその「ツンデレ指南書」を読み始める。4章に別れていて、「あなたのツンデレ度チェック」/「ツンデレになろう!初級編」/「ツンデレになろう!上級編」/「ツンデレ最終奥義」 に分かれていた。最後の4章は袋とじになっており、上級編をマスターした者ではないと決して開けてはいけないとのこと。ちなみに第一章のツンデレ度チェックをやってみた結果は「弱ツンデレ」。訓練次第で十分ツンデレマスターになれる要素十分!という、どう受け取っていいのかかわからない回答だった。
ちなみにツンデレブースターとはペンダントのことを指すらしい。ペンダントの中にはツンデレ石が入っており、行動を起こす前にペンダントに向かって「ツンツンツデレツツツンツーン」と唱えなければならない、うんぬんかんぬん。

入学式当日。メガネをコンタクトに変えた。髪も明るい赤茶にして、ツインテールにした。(ほんとは金髪がいいらしいが、さすがにそれはキビシイと思った。あともうすこし髪が長いといいんだけれど) そして名前を変えた。良子からリョーコにするのだ。その方がツンデレっぽい。これは本には書いてなかったが、自分で考えた。
仁王立ちで反りかえり、手を腰にあてたポーズも鏡の前で何度も練習した。よし完璧、っと校舎の門をくぐろうとしたところで、ミチコに声をかけられる。中学の同級生で仲良しの女の子だ。
「良子?、あれ、どーしたのその髪型!」
いきなりの関門だ。言葉につまる。恥ずかしさで心が折れそうになる。でもこんなことはもちろん折込済みだ。中学からの知り合いがゼロなわけじゃない。そのためになんどもシュミレーションしてきた。
「ちょっといじってみただけよっ。べつに高校になったから変身しようとしてきたわけじゃないんだからっ」
口調を変える練習もしてきた。
ミチコはいつもと違う良子にちょと驚くも、意外と思い込みの激しい良子がなにかやらかそうとしていることはすぐわかった。これは面白くなりそうだ、という直感。
ミチコはさりげなく良子の態度の受け入れ、なにごともなかったように振舞う。良子は「うまくいってる!?」と、すこしだけペンダントの威力を信じるのだった。

式が終わると、クラス発表。ミチコと同じだったこともうれしかったが、なんと憧れの大田君と同じクラス! 最大の試練が初日にやってくるとは思わなかった。なぜなら指南書によれば、あこがれの人との最初の会話こそが肝心、ここで決めなければ取り返しがつかない、と書いてあったからだ。
できれば今日は顔を合わせたくない。どうせ私のことなんて覚えてもいないんだろうし、近づかなければ今日はやりすごせる、、そう願っていたのだが。 え?こっち見てる? 大田くんは早くも友達ができたのか、なんにんかの男子生徒に囲まれて雑談をしてたのだけれど、しばらくしてじっとこっちを見ているのだ。え? わたし?! こっちの方向って、わたししかいないよね?。でもなぜ?!
中学の時のように、うつむいて机に臥せてしまおうと思ったとき、腕のペンダントが目に入った。だめだめ、これからの3年間の高校生活がステキになるかどうかは、この1分間で決まるんだから。
意を決した良子、もといリョーコは、席を立ち上がって、大田のところに歩み寄る。
「・・・えと、、、あのさ、ちょ、ちょっといいかな」
少女が突然立ち上がり、ぎこちない男子に近づく動作はクラス中の生徒の興味をそそることとなる。
「あのさ、大田、くんでしょ。えと、、か、勘違いしないでね、べ、べつにあなたを追いかけてこの高校入学したわけじゃないし、そ、そうよ、名簿見て同じ中学だって知っただけなんだからねっ!!」
言えたーー!
リョーコはきちんとシナリオどおり言えたことに満足感を覚える。快感といっていい。自分の言葉に酔う、ってのはことのことなのか? しかし同時に、教室のクラスメイトたちは頭の中に共通の言葉が浮かぶ。「ツンデレだ!」
ミチコは吹き出しそうになるのをぐっと抑えた。「ちょと、良子ったら、それだと、ツンのフリじゃなくて、最初っからデレが丸出しじゃない!」
しかしこれはこれで楽しい高校生活になりそうね、と悪魔の顔を覗かせるミチコであった。


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非公開コメント

思わずにやけてしまった。危ない危ない。
リョーコのツンデレっぷりと痛さがいいなぁ
自分もこんな青春送れたらよかった

こんな青春いいですよねー
ファンタジーですよねw
ツンデレ指南書、どうみてもうさんくさい本ですが、中身はけっこう青春の手引き書だったりするのです
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