近未来のギター少女にまつわるシナリオを考える。設定にこだわる。例によって設定にこだわってるけれど、内容にはちっとも反映されず、単なる脱力系の4コマストーリーの予定w。
WEB漫画雑誌KNOWの締め切りが9月頭なんだけれど、サリーの3話が期限までに描ける気がしないので、4コママンガ2~3本くらいでお茶を濁そうかな、などと考えて生まれた話。ところが設定だけがどんどん壮大になっていく。。。
設定は以下:長文注意
ラディカル・アナロジカル・ミラコ
ヘル波理論の提唱者によれば、音楽が人間の感性に直接影響を与えるのは、空気を振動させる周波数ではなく、ヘル波という分子のリズムによるものであるという。しかしヘル波という理論上の仮説であり、物理法則を無視したその突飛な学説は、前世紀の終わりまで、学会でまともに取り上げる者はいなかった。
しかし豪州チキンボーン研究所は、このヘル波を10~5000倍に増幅するエフェクターを開発する。このエフェクターを楽器で使うことで従来の音楽では得ることのできないトランス状態を呼び起こし、若者の間で密かに熱狂的な支持を受けた。しかしこのエフェクターを操るのは難しく、奏者の力量によっては感情障害、脳への支障を引き起こす事故も多発していた。とはいえ、まだ世間では一部の若者の暴走行為と見なされていたのだった。世界を恐怖の奥底に陥れる「魔響の13日間」が起きるまでは。
「魔響の13日間」とはこのエフェクターを悪用した世界規模のテロ事件である。世界の主要都市に設置された街頭スピーカーから鳴らされた音楽によって2億1千万人が死に至った。この音楽には通常の15万倍のヘル波が含まれていたと推定される。耳を閉じようとこの音楽から逃れることはできず、またいつ再び鳴り始めるかわからない恐怖に人々は震撼した。
このとき使われたエフェクターは128台。これらは「魔ペダル」と呼ばれる。特に、そのうち13台が”オリジナル”、残り115台が”劣化模造”と呼ばれる。各国の治安当局が回収できた魔ペダルは全部で劣化模造の24台。オリジナルを含め、いまだに多くの魔ペダルは行方不明となっている。
事件後、すぐさま制定された国際治安維持連盟の決定により、「すべてのアナログ音楽を禁止、音楽はデジタル変換を経てヘル波が0.0002ガルヘル波以下に抑えてあること」が全世界において義務付けられた。しかしそれは通常の音楽の1000分の1以下のヘル波量であり、人はこの音楽で心を揺さぶられることは二度となかった。
そこで魂の開放を求める若者は、地下のライブハウスにて違法アナログ音楽を求めることになる。「魔響の13日間」からわずか30年後、第二世代の若者である。
ライブハウスのバンドの中には「魔ペダル」を使ってるとウワサされる奏者もいたが、テロによって法治能力の落ちた各国の治安当局はこれらライブハウスをしらみつぶしに検挙することはできず、闇ライブハウスは日常化していくのであった。